【百合ヶ丘駅】佐渡の味を楽しむ、人が集う「隠れ家たまり」

昔ながらの商店街があり、どこか懐かしい雰囲気を残しながら、少しずつ新しい表情も見せる百合ヶ丘。駅から歩いて3分ほど、住宅街の路地を少し入ると、個性的な外観のお店が見えてきます。

壁には「佐渡の魚や地酒」「地場の野菜や果物」の文字。思わず「ここは何のお店だろう?」と気になるこの場所が、今回ご紹介する「隠れ家たまり」です。

今回はランチと「たまり食堂」の朝ごはんを実際にいただき、オーナーの粂田真理さんに、料理やお店に込めた想いを伺いました。

旬の野菜と佐渡の恵みを、丁寧に味わうランチ

今回いただいたのは、旬の野菜をたっぷり使った天ぷら定食。
色とりどりの天ぷらに、小鉢や具だくさんの味噌汁が並び、見た目からもボリュームたっぷりです。

天ぷらには、金時草やコリンキー、シャドークイーン(紫色のじゃがいも)、ロッサビアンコ(なす)など、色も形もさまざまな野菜が並びます。中でも驚いたのは、ゴーヤのワタ。素材の味を楽しめるよう、佐渡の塩をつけていただきます。

定食には、ひじきや切り干し大根などの小鉢も。ご飯は白米・玄米・雑穀米から選べ、味噌汁には野菜がたっぷり入っています。

野菜を中心としたやさしい味わいながら、ボリュームもしっかり。食べ終えるころにはお腹いっぱいになる、食べ応え抜群のランチでした。

隠れ家たまりが大切にしているのは、メニューの数を増やすことよりも、素材を大切にしながら、一つひとつの料理を丁寧に作ること。

一番人気は、佐渡から届く魚を使った海鮮丼です。魚は佐渡の魚卸から仕入れており、届かない日には海鮮丼の提供をお休みすることもあるそうです。

夜は完全予約制。予約に合わせて食材を用意することにも、食材を大切にしたいという粂田さんの想いが込められています。

今回は残念ながら海鮮丼には出会えませんでした。次は佐渡の魚が届く日に、ぜひ味わってみたいです。

人との縁に導かれ、五反田から百合ヶ丘へ

「隠れ家たまり」の始まりは、2009年の東京・西五反田。2011年1月に現在の百合ヶ丘へ移転し、この街で歩みを重ねてきました。

オーナーの粂田真理さんは、陶芸に携わってきた経験の持ち主。店内には粂田さんが手がけた作品が並び、料理を盛り付ける器にも使われています。

五反田から百合ヶ丘へ。場所を移しながらも、人との出会いやつながりを大切にしてきた「たまり」。百合ヶ丘でもさまざまな縁が重なり、少しずつ現在の姿へとつくり上げられていきました。

古民家を思い描き、自分たちの手で作り上げた空間

店内に入ると、古い建具や木の床が目に入り、どこか懐かしく落ち着いた雰囲気が広がります。

もともと粂田さんには、古民家のような空間にしたいというイメージがあったそう。宮大工との出会いをきっかけに、自身も作業に加わりながら、真っ白だった店内に少しずつ手を加えていきました。

古い家から譲り受けた昭和初期の建具を取り入れ、壁を塗ったり、棚を作ったり。現在の空間は、そうして一つひとつ手をかけて作り上げられたものです。

床に使われているのは、「奇跡の杉」と呼ばれる無垢材。木のぬくもりに包まれた店内には、まるで森林浴をしているかのような、ゆったりとした時間が流れています。

木のカウンターも、ゆったりと過ごせる場所のひとつ。粂田さんとの何気ない会話を楽しめるのも、たまりの魅力です。

店内には、ステンドグラスや北欧風の照明、粂田さんの好きなCDなども。古民家を思わせる空間にさまざまなテイストが自然となじみ、この店ならではの雰囲気をつくり出しています。

そして、ぜひ注目してほしいのがトイレまわり。「ひょうたんが好きなんですよね」という言葉通り、かわいらしいひょうたんが描かれています。

手洗い場には、竹から水が流れる鹿威しを思わせる仕掛けも。こんな場所にまで、こだわりと遊び心が感じられます。

古いものと新しいもの、そしてお気に入りのものが自然に溶け合う店内。食事をしながらつい長居してしまったのも納得の、居心地のよい空間でした。

食事だけじゃない。子どもから大人まで人が集まる「たまり」

たまりに人が集まるのは、食事の時間だけではありません。

店内では、己書(自由に描く筆文字)や金継ぎなどのワークショップのほか、ライブや子ども向けの催しなど、さまざまなイベントが開かれています。食事だけでなく、さまざまな楽しみをきっかけに人が訪れる場所です。

地域とのつながりを感じる取り組みのひとつが、子ども食堂の「たまり食堂」。2014年に粂田さんとボランティアスタッフでスタートし、現在は朝ごはんと餃子の2つのプロジェクトがおこなわれています。

毎週水曜日の朝ごはんでは、白飯と手作り味噌の味噌汁、日替わりのおかずを提供。中学生までは無料です。

「子どもだけじゃなく、大人も。誰でも来ていいんです」と粂田さん。
手作りのおかずや味噌汁が並ぶ朝ごはんは、ほっとするようなやさしい味わい。子どもだけでなく大人も一緒に食卓を囲めます。

地域の子どもたちとのつながりは、たまり食堂の時間だけではありません。下校時刻になると、店の外から子どもたちの元気な声が聞こえてきます。学校帰りに自然と立ち寄り、トイレを借りたり、少し休憩していったりする子もいるそうです。

取材中にも、転んでけがをした子どもが店へやってきました。粂田さんが自然に迎え入れ、手当てをする姿がとても印象的でした。

食事をしたり、何かを作ったり、音楽を楽しんだり、ふらりと立ち寄ったり。それぞれの過ごし方ができるのも、たまりならではの魅力です。

人と人がつながる、百合ヶ丘の「たまり」

佐渡から届く食材を使った丁寧な料理、自分たちの手で作り上げた居心地のよい空間。料理にも空間にも、この店ならではのこだわりが感じられました。

「たまり」という名前は、粂田真理さんのお名前から、個展をきっかけに生まれたものだそうです。偶然生まれたその名前が、今のこの場所にどこかぴったり重なります。

料理を味わいに、イベントを楽しみに、そしてゆっくりとした時間を過ごしに。何度でも足を運びたくなる、百合ヶ丘の「隠れ家たまり」。次は佐渡の魚が届く日に、一番人気の海鮮丼を味わってみたいです。

隠れ家たまり
住所:神奈川県川崎市麻生区高石1-11-1 1F
アクセス:小田急多摩線「百合ヶ丘駅」から徒歩約3分
営業時間:ランチ 水~日曜日
11:30-14:00
ディナー 16:00-21:00(完全予約制)
子ども食堂 毎週水曜日6:30-8:30
餃子の会 毎月第1月曜日16:00-19:30

TEL:044-951-1603
定休日:毎週月曜日、火曜日
駐車場:あり(1台、要予約)

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。